国民民主党が強く求めるいわゆる「年収103万の壁」の見直し。
(国民民主党 玉木雄一郎代表)「現時点において、178(万円への引き上げ)を譲るつもりはありません」
11月20日午前、自民・公明の与党と、国民民主党の税制調査会長らが、国会内で初会合を実施。『103万の壁』の見直しなど、来年度税制改正に関し、国民民主党側の具体的な要望が伝えられたと見られ、先ほど補正予算案への対応を含めた3党の合意文書が取りまとめられました。
(国民民主党 浜口誠政調会長)「おおむね(党の主張は)ご理解をいただいたというふうに思っています」
超えると所得税が発生する、『年収103万円の壁』。玉木代表は、この壁が学生アルバイトらの働き控えに繋がっているとして、178万円まで引き上げるよう訴えてきました。実際に話を聞くと…
(アルバイトをする大学生)「103万円以上今年稼ぎたいので、(上限)上がってくれたらうれしい。(今は)調整してシフトを入れてもらっています」
(アルバイトをする大学生)「親からは『(年収103万円を)超えないように気をつけてや』と言われてて、もうちょっと(上限が)あった方が自由にもっとバイトに入れる」
今年開業したKITTE大阪に入る焼肉レストランも『103万の壁』のためアルバイトのやりくりに頭を悩ませることも。
(ABURIYA arata 寺田凱統店長)「10月や11月は、『103万円の壁』があることで、入れないアルバイトが増えているのが現状。人手不足になることもある。飲食店としては、(壁が)引き上げられることがすごくうれしい」
多くのパート従業員を抱える大阪市内のスーパーマーケットでも、一番人出が必要な年末に影響が出ると言います。
(フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長)「12月は大変忙しくなりますし、稼ぎ時でもあるんですけど、やはり(年収103万円を)超えてはいけないと、12月については“働き控え”をする人も増える。人繰りがうまくいかないことも。『103万円の壁』がなくなり、もっと上限が上がるというのは、非常にありがたい話。私たちも大賛成」
働く側も現場も、『103万の壁』の上限が上がることを歓迎していますが…
(神戸市 久元喜造市長)「この見直しによる(地方の)税収への影響を懸念」
全国20の政令市でつくる指定都市市長会は11月19日、村上総務大臣に直接、「慎重な検討」を求めました。この上限アップにより、地方にとっては、国の試算で約5兆円の税収減となり、住民への行政サービスに影響が出かねないと言います。指定都市市長会の会長を務める神戸市の久元市長は…
(神戸市 久元喜造市長)「(例えば)今まで手付かずだった神戸の玄関口、三宮の再整備が遅れることになるのは間違いない。そういうふうな(行政サービスの)『選択』をせざるをえなくなってくる。住民に必要な行政サービスを提供する基盤である地方税財源に影響を及ぼすことがないよう(国に)強く求めていく」
手取りを増やすのか?行政サービスの維持を選択するのか?究極の2択のように見えますが、専門家は…
(大和総研主任研究員 是枝俊悟さん)「インフレで(物価が)上がってるのに、(上限が)103万円はきついんじゃないか。確かにその通り。学生に“働き控え”を生じさせている。確かにその通り。(でも)それぞれの問題に対し、答えがあるはずで、(地方税収が激減する)一律178万まで上げなくても、それぞれの課題は解消できる」
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