年収“103万円の壁”の見直しをめぐり、全国20の政令指定都市で構成する『指定都市市長会』は18日、会議を開きました。
仙台市・郡和子市長
「かなり大きな影響が出てくるという懸念を強く持っている」
千葉市・神谷俊一市長
「地方税財源に影響を及ぼすことのないように、強く求めていく必要がある」
国民民主党が、所得税のかかり始める年収のラインを103万円から、178万円まで引き上げると主張したことで火が着いた議論。この“壁”の引き上げに合わせて、住民税のラインも上がった場合、地方の税収が4兆円ほど減るという政府の試算が波紋を広げています。
政令指定都市の市長らは、地方の減収分に代わる財源を確保するよう求める意見を取りまとめました。市長たちも、昨今の物価高などを背景に、手取りを増やす必要があることには理解を示しています。しかし、税収が減れば、思うように政策を打つことも、行政を動かすことも難しくなると感じています。
川崎市・福田紀彦市長
「川崎市で504億円の影響が出てくる。昨年度ベースでいいますと、税収の13%という形で、大きな影響を受けることになる」
税収の約11%、354億円が失われると見込む神戸市は、すでに進んでいるターミナル駅周辺の再開発事業にも影響が及ぶ可能性があるといいます。
神戸市・久元喜造市長
「震災30年から復興して、ようやく今まで手つかずだった神戸の玄関口の三宮の再整備が、相当遅れることになることは間違いありませんから、代替となる財源をしっかり確保して、影響がないようにしていただきたいというのが私どものお願い」
税収が減ることへの懸念は、地方から相次いで上がっています。
北海道・鈴木直道知事
「国民、道民も、手取りは増えたけれども、サービスが減ったということだと、何なのだという話になる。そこは大事なポイントなんじゃないかと」
宮城県・村井嘉浩知事
「国民民主党がおっしゃっているような形で、もしやった場合は、たちどころに体制は財政破綻するだろうと。少なくとも私が総理ならば、首を縦に振らないですね」
島根県・丸山達也知事
「『予算の中身を知らないから』と言うのであれば、与党として入られて、予算の中身を知って、
決定に携わって、全体としてどうしていくのかを責任を持ってやらないといけない規模の話だ」
こうした声に対して、国民民主党の言い分です。
国民民主党・榛葉賀津也幹事長(15日)
「地方の財源が4兆円減る。だからやるなって論法でしょ。そうじゃないんですよ。地方の財源に悪影響を与えないように、ぜひ103万円の壁を突破して、地方の住民の手取りを増やしてくれと。全国知事会も、市長会も町村会長も言わなきゃダメなんじゃないですか。地方に住んでいる住民の立場に立ったら、絶対にそれは国の責任で、地方財政には悪影響及ぼさない、だけど、頑張って地方で生活されている方々の手取りを増やす、減税する。それもセットでやれというのが、正しい知事会のスタンスだと私は思います」
問題は、財源をどう手当てするのかです。
玉木代表の持論は、こうです。
国民民主党・玉木雄一郎代表(公式Xから)
「予算には計上したものの、結局は、使わずに残した予算が、2年間の平均で 年9.1兆円あります。逆に、税収は平均で年4.2兆円 上振れしています。計上すべき予算をもっと絞り込み、税収見積もりをより精緻(せいち)にすれば、減収など、いくらでも対応可能」
国民民主党・玉木雄一郎代表(15日)
「この間の1週間が、103万の壁ができるかどうかが決まる、最大、最も重要な1週間になります」
玉木代表が位置づける“最も重要な1週間”。
政府が22日の閣議決定を目指す経済対策をめぐって、自民・公明・国民の3党が、政策協議をしている最中です。国民民主党は、この経済対策の中に“壁”の見直しを明記するよう求めていますが、18日は結論が出ませんでした。
国民民主党・浜口誠政調会長
「しっかりとした書き込みがないと、これから先に進めないと申し上げた」
3党は、19日に再び協議する予定です。
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